元保険屋さんが教える
正しい保険の選び方 ~その2~
『個人用モノ保険』
- それでも生きるあなたへ BLOGS -
前回個人向け保険の「ヒト保険(人の身体的損害を補填する保険)」について解説したので今回は『モノ保険』について解説する。読んで字の如し「物」に損害が発生したときに保険金が支払われる。ヒト保険もそうなのだが特にこの保険は「賠償責任保険」がセットされることがあり、そこも非常に重要なので併せて解説していく。
※わたくしはあくまで"元"保険マンですので、詳しい保険の内容については保険会社か、お付き合いのある保険代理店の担当者に確認されてください。この記事は特定の保険会社の商品を推奨したり、募集するものではありません。
さてそれでは今回も、
"その保険に加入する目的"
"その保険が必要な人、不要な人"
という2点を中心にできるだけわかりやすく解説していきますよろしくお願いします。
『モノ保険』
加入を検討する際の基本中の基本
モノ保険に入ろうかどうしようか…悩んだら考えることは一つだけ。
"その物に損害が発生しても自己資金で復旧可能かどうか?"
できるなら保険は不要。できないなら保険加入を検討する。以上です本当にどうもありがとうございました。
…とまぁそれが真理ではあるのだけれど「保険に入るほどじゃないがこの程度の保険料ならアリかな…」とか「保険かけときたいけど保険料が高いな…」とか世の中微妙なサジ加減に悩まされることが多いので一筋縄ではいかない。なので今回は
『モノ保険に対する、実際のお客様たちの様々な考え方』
を参考にしていきながらあなたの悩みを解決していきたい。
保険マン時代、そんな考え方もあるのか!と驚いたお客さんの価値観がいろいろあるので是非参考にしていただきたい。
こんな視点で保険を解説する記事は他に無いのではなかろうか?
これは本当に価値ある記事でnoteにアレしたら有料でアレできること請け合いだがやり方がわからないのでここに無料で書きたいと思う。
お年寄りよ、共に頑張ってデジタル時代についていこう。
代表的な『モノ保険』の種類
もはや説明不要なラインナップではあるが意外と知らないことも多い…それがモノ保険。そこにセットされたヒト保険や賠償責任保険の方が重要だったりする場合もあるので単に損得だけで判断するのは危険である。その辺をできるだけ取りこぼさぬようわかりやすく説明していきたい!…できるかなぁ。
自動車保険
-
「保険金が支払われる条件」
→保険の対象となる自動車に損害が発生した時や、相手がある事故の賠償責任、運転手・同乗者の身体の損害が発生した時。 -
「保険に加入する目的」
→車の損害や盗難被害の補填、交通事故の治療費・賠償金確保など。 -
「必要な人」
→車が損壊したり盗難に遭ったりしたときの修理代、買い替え費用を自己資金で賄うのが難しい人。
→交通事故相手への賠償金を自己資金で賄うのが難しい人。
→交通事故に遭ったときの自分や同乗者の身体の損害に対し自己資金での補填が難しい人。 -
「不要な人」
→車が盗難されても廃車になっても事故でどれだけの賠償責任を負うことになっても自己資金で賄える人。 -
「ひとくちメモ」
非常にメジャーであり非常に奥が深い自動車保険。実はモノ保険と賠償責任保険とヒト保険がセットでそれぞれ等しく重要なポジションを担っている珍しい保険でもある。自動車にかける保険であるので知らない人もイメージしやすいようモノ保険にカテゴライズしたが、実際にお客さんが重要視するのは
「1.対人・対物賠償責任保険(賠償責任保険) 2.人身傷害保険(ヒト保険) 3.車両保険(モノ保険)」
という順位。
やはり事故の相手には迷惑かけたくないし同乗者のケガは補償したいというのが優先で、車両保険は言うても物の損害だし保険料も高いしで「う~ん月々これだけかかるのかぁ~…じゃあ車両保険はナシで!」となる人も多くいらっしゃる。車両保険に関しては個性が出るので実際にお客さんが言っていた車両保険に対する考えをいくつか挙げる。
「修理代が高額の場合自腹はきついので車両保険は必要。」とか「保険料が高いから車両保険は不要。」的な一般的なやつはもはや共通認識だから省くとして、いろんな考え方があるなぁと感心した意見を紹介する。迷いがちな人は是非参考にしてほしい。
【車両保険は必要派】
- 「事故に遭ったらただでさえ気分が落ち込んでいるはずなのにそのうえ自腹で車を直すなんてありえない。心がギブアップしそう。」
- 「相手が無保険で弁償してもらえなかったら怒りでどうにかなりそう。」
- 「昔車両保険を付けてなくて痛い目に遭ったので、もはやあれこれ悩まず車両保険とは最初からそこに在り、必ず付けなければならないものとして認識し、明鏡止水の気持ちで保険料を払っている。」
【車両保険は不要派】
- 「事故に遭う確率と相手からの賠償金、最悪の場合全部手出しになることを考えても車両保険はコスパが悪いので不要。その分のお金を別のことに使った方が有意義。」
- 「車両保険があったら運転に甘えが出る。己を律し、絶対に事故を起こさないためにも車両保険は付けない。」
- 「車両保険があってもその時の時価までしか出ないんだろ?新車が買えるわけじゃないんだろ?じゃあいらん!」
事故時の自分の気持ちを想像する人、過去の経験で考えが変わった人、論理的に計算して判断している人、敢えてリスクを背負って自戒している人など様々なお客様がいたが、特に最後の人はそのあとに「そんなハシタ金がいるかァァーーッ!なめるんじゃねぇ保険屋ァァーーッッ!!」と本宮ひろし調の画風で怒鳴られそうな漢気あふれる考え方だった。
ちなみに今は新車が買えるくらいまで車両保険金額に上乗せする特約もあるので必要性を感じる人はお付き合いのある保険屋さんに聞いてみてください。
車両保険が必要か不要かは御覧の通り性格が出るので内なる自分としっかり相談していただくとして、ここで元保険屋として"付けてて良かった車両保険!!"と思った実際にあった事案を3つ紹介する。ていうか"車両保険がなかったら血の気が引いてた案件"と言った方が正しい。
- 買ったばかりの高級車にイタズラされ修理代100万円超。
→車両保険を使って修理。 - ボンネットの中にあった異物がベルトに巻き込み車が路上で停止。廃車。
→急ぎ車両保険を使って他の車を調達。 - 事故相手が無保険かつ経済的に余裕がない人でこちら側の損害を弁償できず。
→こちらの過失がゼロだったため車両保険の『無過失事故特約』を使用し「翌年度の等級を下げずに、保険料が上がることなく」相手の弁償を待たずに修理。
この3つは特にホッと胸を撫でおろしたケース。上から順に理不尽、予想外、最悪の相手となかなかのラインナップでもし車両保険がなかったら目も当てられないことになっていた。特筆すべきは『無過失事故特約』で、こちら側の過失がゼロなら相手の弁償を待つことなくこちらの車両保険で、等級を下げず、翌年の保険料が上がることなく先に修理ができるので場合によってはめちゃめちゃ活躍する特約である。ただし全ての車両保険にこの特約が付いているわけではないので自分の車両保険がどうなのかについては保険屋さんに聞いてください。
事故でお客様の怒りの顔、悲しみの顔、安堵の顔などいろいろ見てきたけど、それらを総合的に鑑みて個人的に申し上げるなら車両保険は付けておくことをオススメします。
それでは自動車保険内の残り2つの重要な保険についてよくある疑問にお答えします。
「対人・対物賠償責任保険は無制限でないとダメなの?」
→はい。対人事故は相手が複数人の場合もあるし、年収が高く若い人であれば賠償額は数億円になります。それらを全て自己資金で賠償できるなら無制限にする必要はありませんが、無制限にしておいた方が無難ですし何より万が一の際にお相手にしっかりとした賠償が可能です。
対物事故に関しても相手が超高級車であったり複数台であったり事故の影響で休業を余儀なくされた企業への賠償なども含まれますので無制限にしておいた方がご安心かと存じます。
「人身傷害保険は必要?」
→はい。運転手含め同乗者の身体的損害に対し充分な補償が必要なら必須です。自分またはこれから同乗する全ての人が何が起きても自己資金または自分の保険でなんとかするし運転手に賠償を求めないと言うなら話は別ですが現実的に考えてそのようなケースは稀かと思います。人身傷害保険で備えておくのが最善かと存じます。
以上。自動車保険の主要な3つの柱についての解説でした。
その他の特約の重要性についてはお付き合いのある保険屋さんから説明を受けてください。
火災保険
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「保険金が支払われる条件」
→保険の対象となる建物・家財に火災保険で補償される各種損害が発生した時。 -
「保険に加入する目的」
→建物・家財を修理または再取得する費用を確保するため。 -
「必要な人」
→建物・家財に損害が発生しても自己資金での復旧が難しい人。
→ご近所を火災に巻き込んでしまった際、保険で弁償したい人。 -
「不要な人」
→建物・家財の損害復旧やご近所への弁償が自己資金で賄える人。 -
「ひとくちメモ」
火災保険は「建物・家財が被害を受けた時の復旧費用がめっちゃ高額だから自己資金じゃ無理!保険かけときたい!」という、モノ保険の加入動機としては教科書に載せても良いくらい王道にして明確。補償内容も広く火災・落雷・破裂・爆発・水災・雪災・雹災・風災…等々と多岐に渡る中から自分に必要な補償をチョイスする。
それともうひとつ重要な顔があって、「もらい火からの自己防衛」。
たとえばご近所さんの家から出火して自宅が火災に巻き込まれた場合、出火原因が悪質なものでない限り『失火法』という法律により火元に対する賠償請求はできないようになっている。これは昔日本の住宅が木造で密集していた時にできた法律で、火災が発生すると複数の家が燃えることが多かったので賠償請求しても火元がよっぽど大金持ちでない限り弁償不可能だし、それより自分の家は自分で守るのが現実的!と定義されたという歴史がある。
ただ例外もあって火元のご近所さんの出火原因が悪質なものであった場合は賠償請求できるが、これまた自動車事故と同じでご近所さんに賠償能力がなければ修復費用の回収は期待できない。なので火災保険に入りましょう、自分の家は自分で守りましょうということ。ちなみに日本の住宅火災原因の上位に放火があることも知っておきたい。
逆に自分が火元となりご近所を巻き込んでしまい賠償責任が発生した場合、自動車保険はじめ火災保険やいろいろな保険にセットできる『個人賠償責任保険』に加入していれば焼けてしまったご近所さんの家を時価額を限度に賠償できる場合がある。場合があると言葉を濁したのは出火原因があまりに悪質な場合は個人賠償責任保険が使えないから。
もし個人賠償責任保険が使えてもご近所さんが火災保険に加入しておらず「家建て直すのに2,000万円かかるのに時価額の1,000万円しか弁償してもらえないんじゃ足りねーよ!」という場合は揉めるので、それに備えて『類焼損害特約』というものがある。この特約を付けておくと足りない分をこの特約から支払えご近所関係も丸く収まるので通称"ご近所保険"と呼ばれている。
しかしこういった保険・特約は保険会社により補償内容に違いがあるし、ケースによっては使えなかったり、そもそもご近所に家がなければ必要なかったりするので詳しくはお付き合いのある保険屋さんに相談して説明を受けてください。
そしてこれは保険業界全体の取り組みとしてアナウンスを強化していることなのでお伝えするが、最近はもう毎年発生している豪雨による家屋被害。これを補償できるのは火災保険の中の「水災補償特約」です。
特に誤解しがちなのは山手に住んでいる人たち。
山だし、氾濫するような大きな河川も無いからと水災補償特約を付けてない人がいるが雨の影響を受けた土砂崩れによる被害は水災補償特約でないと補償されないので充分に気をつけてください。特に山の斜面が建物から近い人は要注意。保険マンだった頃豪雨の時期に感じていた恐ろしい印象として、
「毎年水没する場所が違うじゃねーか!」
というのがありました。異常な雨が異常な範囲で異常な量降ります。マジで予測不能です。真剣に用心していただきたい。
地震保険
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「保険金が支払われる条件」
→保険の対象となる建物・家財が地震で被害を受けた時。 -
「保険に加入する目的」
→地震による建物・家財の損害に備えて。 -
「必要な人」
→地震で建物・家財に損害が起きても自己復旧が難しい人。 -
「不要な人」
→地震で建物・家財に損害が起きても自己復旧できる人。 -
「ひとくちメモ」
個人住宅用の地震保険は火災保険にくっついているため誤解されがちだがこれは国が管理している保険である。さらに注意すべき点が2つあって、
『地震保険で支払われる保険金は最大でも火災保険金額の50%』
『地震保険は火災保険のように100万円の損害に対し100万円の保険金で補填するわけではなく、被害が一定の割合に達したらそれに応じた規定のパーセンテージで保険金が支払われるというある意味定額払方式』
よくある民間の保険とは支払われ方が異なるので、詳しい保険金の算定方法は「地震保険制度の概要 財務省」と検索すれば財務省公式Webサイトがヒットするのでそちらをご参照ください。
あとこれも重要なことなのでお伝えしておくと"地震が原因の火災は火災保険では補償されない"という点。地震保険でしか補償されません。その場合、地震火災費用特約を付けていれば本来地震保険で50%までしか補償されない部分を100%まで上乗せしてくれたりするので必要性を感じる人はお付き合いのある保険屋さんに説明を受けてください。
最近では地震火災でなくても、純粋に地震保険に上乗せして補償できる保険があるらしいが取り扱ったことがないので明言は避けます。お付き合いのある保険屋さんに聞いてください。そればっかり言ってすいませんが非常に責任ある重大なことなので迂闊なことは言えないのです保険の検討は必ずプロのアドバイスを受けてからにしてくださいほんとすいません勘弁してください。
何をそんなにビビッてるのかって?
教えてやろう、我々保険屋の親分であった金融庁の別名は"鬼の金融庁"だ。
動産保険
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「保険金が支払われる条件」
→保険の対象に規定の損害が発生した時。 -
「保険に加入する目的」
→主に高価な物の損害に備えて。 -
「必要な人」
→保険の対象となる物に損害が発生しても自己復旧が難しい人。 -
「不要な人」
→保険の対象となる物に損害が発生しても自己復旧できる人。 -
「ひとくちメモ」
高価なパソコンやカメラ、機材などを持ち運んでいる時に破損させたり盗難されたりしても保険でカバーできる便利な存在ではあるがその分保険料はなかなか良いお値段するのでしっかりメリットを計算して検討することをオススメする。
火災保険と違い保険の対象を屋外に持ち出している時も補償され、補償内容も自分に合ったものを選択できる。
モノ保険まとめ
冒頭にも言ったけどもう一回言います。もうおわかりの通りモノ保険の基本は
『自己復旧が難しいなら保険かけときなさい』
という単純明快な精神。
悩むべきところは「保険に入っていた方がお得?自己資金を貯めて備えた方がお得?」という点のみ。
ここはシンプルにソロバンを弾いて自分がお得だと思う方にベットしてほしい。それよりも自動車保険や火災保険に関してはヒト保険部分や賠償責任保険部分に迷うだろうからしっかりプロのご案内のもと自分に合った保険で人生を守っていただきたい。
正直(あ、やべ。自動車保険だけで1記事にするんだった…)と後悔したがこの記事はあくまで保険とは何か?を知る基本的な考えをわかりやすく端的に説明することが目的であるので実際に自分が体験した事例も交えつつできるだけコンパクトにまとめてみました。最後の動産保険がやけに短いのはけっして疲れたからではない。
この記事があなたの役に立ちますように。